最初はなにかゴミかと思った
まわりの体毛、赤黒い血溜まりが近づくにつれてはっきり確認できた時、初めて動物だということが分かった
国道と言っても普通の住宅街にある道なものだから、無理やり縦断しよう試みるおじさんやおばさん、そして勿論ネコだってその例には洩れない。
通り過ぎたのは一瞬なのに、その光景は瞼の裏にはっきりと焼き付いて離れない。綺麗な三毛は、決して交わり得ない色が加わっても尚綺麗で、それだけに、そこで起きたことが本当なんだと確証づけるには十分すぎるものだった。
二つの感情を抱いた。
死との直面による嫌悪感と
常に死と隣り合わせだという恐怖心
車がエンジン音を出して行き交う中、ぼくはどうすることもできない。その無機質な音にも、その音の危険さを知らない、知ることのできない猫にすらも怒りを隠せず、そんなぼく自身にも、安易な感情でこんなことを思っていることに疑問を隠せない。
今回はたまたまぼくじゃない、それだった。
ぼくがあそこに居ても何らおかしいことはないし、車は変わらず走る。猫も同じだ。
だからこそ、ぼくはぼくに対して出来得る限りのサポートをしてあげなければいけない。
とうぜんだけれど、死にたくないんだ。
誰だって、そうだろう。